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放棄領域近くのとある貧困街に住んでいた名も無き孤児。
物心ついた時にはすでにここにいた。
住んでいたといっても家があったわけではなく、廃屋などで過ごし、生きる為にスリなどもしていた。
この貧困街で教わったことは「人を信じてはいけない、信じれるのは自分だけ」
明日もわからぬ生活をしていた彼に、三日月が照らす夜に終焉が訪れる。
廃棄領域の近くで攻撃的なバルバと遭遇してしまう。
まだ成長途中の彼ではバルバの力には敵わなかった。
絶望的な状況に抵抗を諦める彼。もしかするとやっと死ねると思ったのかもしれない。
バルバの斧が彼の頭めがけ振り下ろされる。
しかし、その斧は彼には届かなかった。
彼がみたのは「空」色の剣士。
剣士のアイスレイピアから放たれた冷気はバルバの腕を凍り付かせていた。
そしてその次に彼がみたのはのバルバの頭に先ほどまではなかった仮面。
剣士は瞬く間にバルバを一掃し、彼の元にやってくる。
しかし、緊張の糸が切れたのか彼の視界は暗転する。
彼の視界に光が射したとき、まず気付いたことは自分には場違いな空間にいることだった。自分は経験したことの無い柔らかいベッドの上で寝ており、近くには暖炉があった。
しばらくすると、軽装の「空」色の剣士がドアからその部屋に入ってきた。
彼はひどく怯えた。状況の理解ができなかったからだ。すると剣士は彼の前で料理を広げた。
彼はまたもや理解できなかった。しかし、彼の身体は限界だったのかそのたくさんの料理にがっつく。そのときに先ほどのドアから彼と年齢があまりかわらない子供が数人覗いていることに気付く。
そして、剣士が話を始めた。要約すると、
剣士は大きな屋敷を所有しており、孤児院を兼ねている。貧困街での孤児をみつけてはここに連れてきている。彼も例外ではなく、ここにいることを勧めてきた。
彼は剣士の誘いを断りたかった。こんな上手い話があるわけがない。しかし、彼がバルバから受けた傷は深く完治するまでしばらくかかる。最終的に彼は完治するまでここにいることを決める。
そして彼は名を与えられた。名は夜を照らす三日月から、アーク、と。
始めはこの孤児院を嫌がっていたアークも次第に剣士の優しさに触れていくことで、この孤児院での生活を決める。また、貧困街の経験があったおかげか戦いの才能もあり、剣士には到底及ばないが戦いの技術を学んでいく。
そして短くない月日が流れたある日、アークから数えて何人目だろうか。剣士はまた貧困街から子供をつれてくる。しかし、その子の目には光がなく、アークには他人のように思えなかった。その子はレクトと名付けられた。アークはレクトがこの孤児院に馴染めるよう、また光を取り戻せるようにすることを決めた。
それから3日目の夜。
叫び声が聞こえる。目を覚まし廊下にでるアーク。
先の広間でアークがみたものは
燃え上がる孤児院。子供達の引き裂かれた死体。そしてあのバルバと同じ仮面をつけたレクト。
状況を理解し、手に持つ武器を怒り悔しさのままに斬りかかるアーク。しかし、届かない。
防御態勢の整っていないアークにレクトの爪が襲いかかる。
しかし、その爪は彼には届かなかった。
彼がみたのは「空」色の剣士。
しかしその「空」は「朱」に染まっていた。
剣士は一撃をレクトに食らわせ、レクトは逃げ去っていく。
深手を追い、動くことのできない剣士はアークに少し話をするとアイスレイピアを手渡し、息絶えた。
天井に届く業火の中でかすかな声が聞こえた。
「。。父さん。。。!」
数日後、焼け野原に花を手向けるアイスレイピアを持つ少年がいた。
彼は旅立つことを決心する。決着をつける為に。
彼は決意が揺らがぬように名を改めた。孤児院の名を。父の名を。我が名に刻み、
アーク・ステイメンと。